ナレッジ

在日米軍基地は家電と家具をどう調達しているか:契約記録と募集要項から

履行地が日本で、開始日が 2022-10-01 以降の家庭用電化製品の米国元請契約 78 件のうち、登録済みのどの企業も見積を出せた公開競争は 43 件で、その 43 件すべてを日本で登録された企業が受注しました。

最終確認: 2026年10月18日

在日米軍が買っているものと、その記録

在日米軍の基地は、家族住宅や隊舎、事務所の備品を日本国内の市場で調達しています。日本の電源で動く洗濯機や乾燥機、冷蔵庫、机、椅子、棚などです。こうした物品を繰り返し発注しているのは一部の基地の契約担当部署で、公開競争の案件の多くは日本で登録された企業が受注しています。

ハシケは、日本で履行される米国政府の契約記録(USAspending.gov で公開されているもの)と、米国の契約担当部署が米政府の調達サイト SAM.gov に掲載する公告を集めています。このページでは両方を使い、2022-10-01 以降にこれらの部署が何をどれだけ、どのような方法で買い、誰が受注したかを示します。あわせて、最近の家電の募集 2 件が供給業者に何を求めたかを紹介します。

家庭用電化製品:契約件数

78

USAspending の元請契約のうち、履行地が日本、開始日が 2022-10-01 以降、家庭用電化製品(洗濯機、乾燥機、冷蔵庫、電子レンジなど)に該当するもの(78件)

家庭用電化製品:公開競争の件数

43

USAspending の元請契約のうち、履行地が日本、開始日が 2022-10-01 以降、家庭用電化製品(洗濯機、乾燥機、冷蔵庫、電子レンジなど)に該当するもの(78件)

家庭用電化製品:日本で登録された企業が受注した公開競争の件数

43

USAspending の元請契約のうち、履行地が日本、開始日が 2022-10-01 以降、家庭用電化製品(洗濯機、乾燥機、冷蔵庫、電子レンジなど)に該当するもの(78件)

家具:契約件数

171

USAspending の元請契約のうち、履行地が日本、開始日が 2022-10-01 以降、家具に該当するもの(171件)

家具:既存契約にもとづく発注の件数

105

USAspending の元請契約のうち、履行地が日本、開始日が 2022-10-01 以降、家具に該当するもの(171件)

家具:公開競争の件数

46

USAspending の元請契約のうち、履行地が日本、開始日が 2022-10-01 以降、家具に該当するもの(171件)

家電の多くは公開競争、家具の多くは既存契約での発注

ハシケが数えたところ、履行地が日本で開始日が 2022-10-01 以降の家庭用電化製品の元請契約は 78 件、合計 $6.7M でした。このうち 43 件($3.0M)は公開競争で、米国政府に登録したどの企業も見積を出せました。別の 33 件($3.6M)は既存の契約や BPA(一括購入契約、あらかじめ決まった供給業者との継続的な取り決め)にもとづく発注で、保有者しか受注できませんでした。米国の中小企業向けに留保された契約は 2 件だけです。

家具の調達は逆の傾向です。同じ期間に履行地が日本で家具の製品コードに分類された元請契約 171 件($28.6M)のうち、105 件($20.2M)は既存の契約や取り決めにもとづく発注でした。公開競争は 46 件($2.7M)です。

家具のこの割合の背景にある取り決めの一つが、事務家具、会議室家具、住宅用家具を対象とする日本全域の複数落札者契約です。複数落札者契約では最初に複数の契約者を決めておき、その後の個々の発注はその契約者の間だけで競争します。米空軍第374契約中隊は 2021 年、19 件の提案の中からオカムラ、内田洋行、ヘイワースジャパンを含む 12 社とこの契約を結びました。契約期間全体の上限は $75,000,000、1 件の発注の上限は $3,000,000 で、各社は円建てで価格を提出しました。

米海軍にも独自の取り決めがあります。横須賀艦隊補給センターは約 10 年にわたり一括購入契約(BPA)で家具を調達してきました。この BPA は 2026-01-31 で期限を迎え、同センターは 2026-02-09、日本国内のすべての海軍施設を対象に複数の業者と新たな BPA を結ぶための募集 N6264926QJ001 を掲載しました。応募できたのは日本で事業を行う許可を得て SAM.gov に登録した企業だけで、過去 3 年以内の実績照会先 1〜3 件を添えて 2026-02-20 までに提出する条件でした。

家庭用電化製品:応札できた企業の範囲別
調達の方法件数金額(米ドル)
公開競争(登録済みのどの企業も応札できた)43$3.0M
既存の契約・BPA にもとづく発注(保有者のみ)33$3.6M
米国の中小企業向けに留保2$53K
競争なし0$0

母集団:USAspending の元請契約のうち、履行地が日本、開始日が 2022-10-01 以降、家庭用電化製品(洗濯機、乾燥機、冷蔵庫、電子レンジなど)に該当するもの。

家具:応札できた企業の範囲別
調達の方法件数金額(米ドル)
公開競争(登録済みのどの企業も応札できた)46$2.7M
既存の契約・BPA にもとづく発注(保有者のみ)105$20.2M
米国の中小企業向けに留保8$4.4M
競争なし12$1.2M

母集団:USAspending の元請契約のうち、履行地が日本、開始日が 2022-10-01 以降、家具に該当するもの。

発注する基地の部署と受注している企業

家電の公開競争 43 件を発注したのは 4 つの部署です。米海軍横須賀艦隊補給センターが 23 件、その佐世保事務所が 14 件を発注し、残りはキャンプ座間の調達を担う横田基地の米空軍第374契約中隊と、嘉手納基地の第18契約中隊でした。43 件はすべて日本で登録された企業が受注し、受注企業は 11 社に分かれています。家電の公開競争の応札数の中央値は 3 件でした。

家具の公開競争はより多くの部署に分散しています。発注した部署は 10 あり、最も多いのは三沢基地の第35契約中隊の 19 件です。家具の公開競争 46 件のうち 35 件を日本で登録された企業が受注し、少なくとも 1 件を受注した企業は 24 社、応札数の中央値はここでも 3 件でした。

最近の家電の公開競争の契約を見ると、乾燥機だけの発注から住宅全体の家電の発注まで、各部署が記録に書いた内容がわかります。後述する厚木の募集の契約は 2026-04-10 に始まり、FUTUREBUD INTERNATIONAL CO., LTD. が $87K で受注しました。応札数は 4 件です。

家庭用電化製品:公開競争の受注企業数

11

USAspending の元請契約のうち、履行地が日本、開始日が 2022-10-01 以降、家庭用電化製品(洗濯機、乾燥機、冷蔵庫、電子レンジなど)に該当するもの(78件)

家庭用電化製品:公開競争の応札数の中央値

3

USAspending の元請契約のうち、履行地が日本、開始日が 2022-10-01 以降、家庭用電化製品(洗濯機、乾燥機、冷蔵庫、電子レンジなど)に該当するもの(78件)

家具:公開競争の受注企業数

24

USAspending の元請契約のうち、履行地が日本、開始日が 2022-10-01 以降、家具に該当するもの(171件)

家具:日本で登録された企業が受注した公開競争の件数

35

USAspending の元請契約のうち、履行地が日本、開始日が 2022-10-01 以降、家具に該当するもの(171件)

家庭用電化製品:公開競争の発注部署
契約担当部署件数受注企業数金額(米ドル)
NAVSUP FLT LOG CTR YOKOSUKA238$1.8M
NAVSUP FLC YOKOSUKA SASEBO OFFICE145$843K
FA5209 374 CONS PK53$366K
FA5270 18 CONS PK11$35K
家具:公開競争の発注部署
契約担当部署件数受注企業数金額(米ドル)
FA5205 35 CONS PK195$1.2M
FA5270 18 CONS PK76$684K
FA5209 374 CONS PK53$294K
NAVSUP FLT LOG CTR YOKOSUKA64$228K
COMMANDING OFFICER22$107K
NAVSUP FLC YOKOSUKA SASEBO OFFICE33$86K
W2SN ENDIST JAPAN11$22K
GPC COMPONENT PROGRAM MANAGER11$18K
U.S. EMBASSY TOKYO11$16K
AMERICAN CONSULATE OSAKA-KOBE11$14K
家庭用電化製品:最近の公開競争の契約
開始日契約担当部署内容(記録の記載どおり)受注企業応札数金額(米ドル)
2026-07-08NAVSUP FLT LOG CTR YOKOSUKAJAPANESE DOMESTIC MARKET APPLIANCES, INCLUDING REFRIGERATORS, ELECTRIC WASHERS, ELECTRIC DFUTUREBUD INTERNATIONAL CO., LTD.4$50K
2026-06-17FA5209 374 CONS PKPURCHASE OF OFF-POST APPLIANCE, CAMP ZAMA, JAPANFUTUREBUD INTERNATIONAL CO., LTD.4$87K
2026-05-29NAVSUP FLT LOG CTR YOKOSUKAJAPANESE HOUSEHOLD APPLIANCESSEIBU SANGYO CO., LTD.7$263K
2026-04-10NAVSUP FLT LOG CTR YOKOSUKAPROCUREMENT OF JAPANESE DOMESTIC MARKET (JDM) RESIDENTIAL APPLIANCES FOR NAVAL AIR FACILITFUTUREBUD INTERNATIONAL CO., LTD.4$87K
2026-04-02NAVSUP FLT LOG CTR YOKOSUKAJAPANESE HOUSEHOLD APPLIANCES FOR OFF-BASE FAMILY HOUSING RESIDENTS AT CFASSEIBU SANGYO CO., LTD.6$39K
2025-09-03FA5209 374 CONS PKPURCHASE AND DELIVERY OF REFRIGERATORS FOR MFH OFF-BASE HOUSINGPROTECH, Y.K.4$102K
2025-07-24NAVSUP FLT LOG CTR YOKOSUKAREFRIGERATORKYODO DENKI CO., LTD.6$42K
2025-07-16NAVSUP FLT LOG CTR YOKOSUKAJAPANESE AUTOMATIC DRYERSASEBO DENZAI KK4$189K
2025-07-07FA5209 374 CONS PKPURCHASE OF ELECTRIC CLOTHS WASHER HITACHI BW-V80K(W)TAKEUCHI CO., LTD.3$11K
2025-05-27NAVSUP FLT LOG CTR YOKOSUKAELECTRIC DRYERS AND DRYER STANDSUNI CORPORATION4$13K

キャンプ座間の家電の募集要項が求めた条件

2026-07-17、横田基地の第374契約中隊は、キャンプ座間の基地外住宅の居住者向け家電の募集 FA520926Q0067 を掲載しました。見積期限は 2026-08-27 です。基本数量は縦型洗濯機 200 台、乾燥機 200 台、乾燥機スタンド 200 台、洗濯乾燥機 40 台、冷蔵庫 200 台でした。各品目には日立またはパナソニックの型番に「同等品可」と付記されており、記載された寸法や容量を満たせば他社の製品でもかまいません。オプション品目として、洗濯機、乾燥機、スタンド、冷蔵庫を各 100 台、洗濯乾燥機を 20 台追加できる形でした。

すべての品目はキャンプ座間の地域の規格である 100V/50Hz で動作し、見積では PSE マークなど日本の安全認証を示す必要がありました。日本では経済産業省がこうした確認が必要な消費者向け製品を指定しており、製造事業者も販売事業者も、所定の表示がない製品は販売できません。

供給業者は契約から 150 日以内にキャンプ座間の倉庫まで納入し、配送費は各品目の単価に含めます。さらに、少なくとも 1 年間の出張修理を含む保証を提供します。日本国外の見積者は、日本国内の正規サービス提携先を見積書に記載しなければ審査の対象になりませんでした。

米空軍は、オプションを含む全 10 品目の合計価格で見積を順位づけし、納入計画を合否で評価し、各製品を仕様と照合したうえで、総合評価で契約先を決める方式をとりました。見積は契約担当部署へメールで提出します。日米地位協定により、在日米軍が公用で調達する物品には消費税がかからず、募集要項は契約価格に消費税を含めないと定めています。

2026-09-18、米空軍はこの募集の契約 FA520926P0087 を、東京都豊島区のプラスロジスティクス株式会社に $508,070.58 で発注したと公告しました。

厚木の家電の募集要項が求めた条件

2026-03-30、米海軍横須賀艦隊補給センターは、厚木航空施設の家族住宅と単身者向け住宅の日本国内向け家電の募集 N6264926QJ007 を掲載しました。見積期限は 2026-04-06 です。2 種類の縦型洗濯機 75 台、乾燥機 80 台、乾燥機スタンド 75 台、冷蔵庫 35 台、電子レンジ 15 台で、米海軍は銘柄ではなく必要な性能で各品目を指定しました。見積には、提案する型番そのもののメーカー仕様書を添付する必要がありました。

この調達は、日本で事業を行う許可を得た企業に限られていました。DFARS 252.225-7035 にもとづき米国製と適格国製の製品を優先し、仕様を満たす最低価格の見積に全品目をまとめて発注する方式です。納期は 75 暦日以内で、見積に消費税を含めないよう求めていました。複数の通貨で見積が提出された場合、米海軍は 2026 会計年度の予算レート(1 ドル=150.4415 円)でドルに換算して評価するとしていました。

締切までに業者から質問が寄せられ、米海軍は募集を 3 回修正しました。2 回は乾燥機の扉の開き方を明確にするため、1 回は電子レンジをスチームオーブンレンジに変更するためです。

現在公開されている家具の公告

2026-08-26、三沢基地の米空軍は公告 FA520526QB132 を掲載しました。基地内の建物向けに、内田洋行ブランドの事務家具(L 字型デスク、デスク、引き出しユニット、デスクトップパネルなど)を購入して設置する計画で、見積依頼は公開せず供給業者に直接依頼するとしています。関心のある企業は 2026-09-01 までにメールで連絡するよう求められていました。

日本全域の家具契約には、新たな契約者を加えるために競争を再開できる規定があります。契約担当部署はこれをオンランプと呼び、再開する場合は SAM.gov で告知します。

日本の企業がこうした調達に見積を出す仕組み

プライム契約者として見積を出す企業は、まず SAM.gov に登録します(無料)。米国外の企業はその前に、国際的な事業者識別コードである NCAGE コードを取得します。日本企業の場合は NATO 支援調達庁(NSPA)が無料で発行します。

日本で行われる案件の募集要項の多くには DFARS 252.225-7042 が含まれており、入札者は契約の履行地となる国で事業を行う許可を得ていることを表明します。厚木の調達はこうした企業だけを対象としていました。キャンプ座間の調達は、国内のサービス提携先を記載すれば日本国外の見積者も受け付けていました。

公開競争の案件では、企業は掲載された募集に対し、募集要項が指定する価格表と製品資料を添えて、期限までにメールで見積を提出します。米空軍の日本全域の家具契約と米海軍の家具 BPA にもとづく発注は、それぞれの契約者だけに出されます。新たな企業が加われるのは、米空軍が競争を再開したときか、米海軍が新しい BPA を募集したときです。

この記録について

家電の件数は契約の記載に家電の名称があるものに限っているため、記載が簡潔な契約は漏れることがあり、業務用の洗濯設備や厨房機器は除いています。USAspending には国防総省の契約が約90日遅れて反映され、2026-09-18 のキャンプ座間の契約は上の件数にまだ含まれていません。募集ごとに条件は異なり、ある調達の条件が別の調達にもあてはまるとは限りません。

この記事の用語

Prime / Subcontractor
プライムは政府と直接契約する事業者。サブは、プライムから業務の一部を請け負う事業者。政府調達への参入手段としてサブ契約から始める例もある。
USAspending / FPDS (Federal Procurement Data System)
連邦政府の契約データの公開システム。過去の落札者・金額・履行地などを検索できる。ハシケの「類似案件の落札実績」もこのデータに基づく。
SAM (System for Award Management)
米国連邦政府の一元的な事業者登録システム。連邦調達に応札・受注するには原則として SAM.gov での有効な登録が必要。登録は無料。
RFI / RFP / RFQ (Request for Information / Proposals / Quotation)
RFI は情報提供依頼(市場調査)、RFP は提案依頼(交渉方式)、RFQ は見積依頼(簡易な調達で多い)。
Past Performance / CPARS (Contractor Performance Assessment Reporting System)
過去の履行実績。政府は CPARS に評価を記録し、将来の評価で参照する。実績のない事業者の扱いは規則で定められている。
SOFA (Status of Forces Agreement)
日米地位協定。在日米軍の地位や、関連する調達・税・労務の取扱いに影響する。案件によっては SOFA に基づく免税や手続が関係する。
DFARS (Defense Federal Acquisition Regulation Supplement)
国防総省(DoD)が FAR に追加・修正する調達規則。国防関連の調達に適用される。
NCAGE Code (NATO Commercial and Government Entity Code)
米国外の事業者に付与される識別コード。米国外の企業が SAM 登録を行う前に取得する必要がある。日本を含む NATO 非加盟国では NSPA(NATO支援調達庁)が発行し、取得は無料。

次に読むもの

出典

この記事で分からないこと

  • すべて公開記録にもとづいています。ハシケは非公開の政府情報にアクセスできず、いかなる政府機関とも提携しておらず、その推奨も受けていません。
  • ある条件で記録が見つからないことは、その活動が行われなかった証拠にはなりません。
  • 契約締結公告は、各契約担当官が SAM.gov に掲載したものに限られます。すべての契約に公告が出るわけではなく、少額の契約や公告が義務づけられていない契約は含まれません。
  • 公告の受注者欄は掲載されたとおりに示しています。所在地は登録上の住所であり、業務が行われる場所とは限りません。
  • 国防総省の契約は、USAspending には約90日遅れて反映されます。最近の契約について、応札数などの項目がまだない場合があります。
  • 家電の件数は、製品コードに加えて契約の記載に家電の名称を含むものに限っています。記載が簡潔な契約は漏れることがあり、業務用の洗濯設備や厨房機器は除いています。家具の件数は製品コード 7105、7110、7125、7195 のすべての契約で、このコードで登録された移設式建物の契約 1 件を除いています。
  • 募集要項は SAM.gov に掲載された文書を 2026-10-18 に読んだものです。募集ごとに条件が異なるため、他の募集に同じ条件があるとは限りません。

ハシケ / Hashikeは民間サービスです。米国政府・国防総省・SAM.gov とは一切関係がなく、非公開情報へのアクセスもありません。本ページの内容は情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。

ナレッジ一覧に戻る